「隣の芝生」は間違いなく青い!—①東証業種別PBRランキングに思う

最近の講演の「まとめ」の部で「隣の芝生は間違いなく青い!」という5枚の資料から構成されるパートを用いるようになった。個人的には、結構満足できる(わかりやすい)内容に仕上がっている。

ベースとなっているのは、東証が毎月公表している「規模別・業種別PER・PBR」なる統計だ。一般的には「業種別PER・PBR統計」と呼ばれているようだ。

最新統計は11月末。同統計では銀行業の単純平均PBRは 0.3倍。これまで仲良く「同倍率最下位」で肩を並べていた「鉱業」がラウンドすると0.4倍となり「鉄鋼」と肩を並べて最下位を脱出。「銀行業単独最下位」の時代が再び到来した。

そんな「銀行業」ではあるが、純資産総額は72.4兆円とダントツの1位。東証1部全体に占める純資産額構成比は14.2%と第2位「輸送用機器」の10.7%を大きく引き離している。

最も市場評価の低い業種に対して「最大の資本投下」がなされているという我が国株式市場のチグハグな状況が鮮明になる。

銀行業の収益性(資本効率)が高ければ「市場の誤り(ミス)」と判断することも出来るのだが、同統計をベースに算定した実績ROE(簡便起算)は4.29%と第27位だ。

しかもこのROE、2021年3月期は3%を下回る公算が大なのである。やはり私には、我が国株式市場が「資本の無駄遣い」をしているようにしか思えない。

従来は、2枚のランキング表でそんなストーリーを語っていたのだが、実際に銀行に資本を投じるよりも「有望な業種」を明らかにするために、最近はさらに「実績ベースのROEとPBRの業種別分布図」を使うようになった。↓

 要は、「銀行よりも高ROE & 高PBR(グラフ右上方)の業種に、銀行に集積された資本や資源を再配分(トランスファー)した方が、我が国経済に資することになりますよ!」というわかりやすいメッセージを込めた資料なのである。

要件を満たすのは、東証分類33業種中26業種。そう、約8割(26÷33)の隣の芝生は、間違いなく「銀行よりは青い」のである!

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