「38年前の銀行業界」を振り返る ③ —38年前のROEは約9%か…

「38年前の銀行業界」を振り返るは、今日と明日のあと2回で終わりにしよう。

よくよく考えたら「業務純益」という利益概念が導入される以前の銀行の財務諸表を眺めるのは久し振りのことであり、今後の講演資料を作成する上で色々と参考になった。

今日は、損益計算書項目の比較。まず、1983年3月期だが、資金収支 4兆8,863億円、役務取引等収支 5,378億円、営業経費総額 4兆997億円、内訳は、人件費 2兆3,806億円、物件費 1兆3,222億円、税金 3,968億円、経常利益 1兆7,532億円、当期純利益 7,308億円であった。

2020年3月期を同じ順に並べると、10兆9,058億円、3兆1,685億円、6兆6,150億円、2兆8,311億円、3兆3,655億円、4,182億円、2兆9,825億円、1兆1,066億円となる。

38年間で何倍に増えたかというと、資金収支 2.23倍、役務取引等収支 5.89倍、営業経費総額 1.61倍、人件費 1.19倍、物件費 2.55倍、税金 1.05倍、経常利益 1.70倍、当期純利益 1.51倍であった。

資本平残で計算したROEは、1983年3月期 8.85%、2020年3月期が、純資産ベースで2.01%、株主資本ベースで2.40%となる。38年年前はROEが約9%だったのか… 正に「隔世の感」があるな。

預金が3.47倍、貸出金が3.09倍になったのに、資金収支が2.23倍にしか増えていないので、銀行の資金業務の収益性悪化が続いたことは明白だ。

一方で、投信や保険窓販等が新たな業務に加わり役務取引等収支は5.89倍と大きく増加。営業経費は人件費を筆頭に主要バランスシート項目の増加率を大きく下回った。

このように数字を並べると、我が国銀行業界の収益力を何とか下支えしてきたのは、結局は「新規業務(規制緩和)」と「効率化」であったという構図が浮かび上がる。

オフィスの書棚にズラッと並んだ「全国銀行財務諸表分析」。

—1000号まで残り22本