「日本で一番変わった銀行」の話

講演では「変わらない銀行」とか「変われない銀行」といった表現をついつい口にしてしまう。

まあ、これは「地域銀行業界の変化」への期待感がかつては大きく、それが裏切られた事に対する「愚痴」や「ぼやき」の類である。

もう最近は、業界全体に対するそんな期待感は微塵もないので、むしろ清々しい気分だ。期待感やワクワク感は「個別行レベル」に限定したものへと収斂してきている。

そう言えば、先々週後半の某アセマネ会社向け講演で「変わらない銀行」という私の発言に対して、ちょっと面白い質問を受けたな…

「では、大久保さん、一番変わった銀行はどこだと思われますか?」と聞かれたので、即座に「そりゃあ、間違いなく日本銀行ですね。」と真面目に答えたのだが、先方はジョークと思ったようで、何故か異様にウケた。

正直に言うと、ETFやJ-REITの大量購入を始めた頃から、私にとっては日本銀行(中央銀行)の役割とは何かがよくわからなくなっていたのだ。

トドメを刺したのが、「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入であり、もう銀行アナリストとしての私の「想像の域」を超えてしまった。

だから、素直に「一番変わった(「変化」の意味がメインだが、「妙な」という意味も含んでいる)銀行」と答えたのである。

この「一番変わった銀行」と「変われなかった地域銀行」の取引残高(当座預金や借入金)が、今年度に入って急拡大している。

主因は「コロナオペ」で導入された ①コロナオペ利用残高に相当する当座預金への「プラス0.1%付利」と②コロナオペ利用残高の2 倍の額を0%付利の残高上限に加算する「マクロ加算残高2倍措置」というコロナ対応貸出を促進させるための「2つのインセンティブスキーム」である。

「異次元」とも言える対日銀取引残高拡大(増殖)の状況を伝えるために、最近、いくつかの新資料を作成して、講演で使用するようになった。

今日、それらの資料をちょうどアップデートしたので、2回に分けて「お裾分け」しようと思う。

まずは、マイナス金利政策導入後の地域銀行の対日銀取引残高(当座預金と借入金)推移と当座預金の適用金利別残高推移を示した1枚の資料だ。前者は「末残ベース」、後者は「平残ベース」で作成している。↓

詳しいコメントは省略。大切なのは、パッと見てグラフから受けるイメージなのだ!

2020年10月末の地域銀行の日銀当座預金残高は72.1兆円、日銀借入金残高は29.5兆円にまで急拡大。この結果、対日銀純取引残高(当座預金マイナス借入金)は42.7兆円に達している。しかしまあ、「凄い数字」である。

コロナオペで日銀から0%でお金を借りて、インセンティブスキーム使って0.1%の金利を受け取る「補助金制度」。銀行も日銀も「もっと別の方法で日本という国に将来」に貢献することは出来ないのだろうか?

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