「金融マップ2021年版」に思う — 異次元金融緩和策導入後の国内貸出市場を支えてきたのは「地域銀行」だ!

オフィスに届いていたのは気が付いていたが、見て見ぬふりをしていた金融誌が1冊。年に1回発行の月刊金融ジャーナル増刊号「金融マップ2021年版」である。

最新収録データは2020年3月末だから、約8ヵ月のラグがある。それでも、個別金融機関の地元都道府県におけるいくつかのデータは「金融マップ」にしか収録されていないので、銀行アナリストにとっては貴重な存在である。

八ヶ岳オフィスには1993年版からズラッと並んでいるので、我が社は1982年3月以降の金融機関別等道府県シェア等のデータを有している事になる(金融マップは最新データの10年前、5年前のデータも掲載されるのだ)。

39年分か… データもこれだけ蓄積すると、ある意味で「財産」だな。

貴重なデータ集だが、ちょっと(かなり)迷惑なのは、その発行タイミングが、中間決算の半期報告書ベースの分析がスタートする時期と見事に重なる事だ。

それでなくとも多忙な時期に、かなりデータインプットや整理に手間暇掛かる150ページ程の金融誌が届くのだから、どうしても視界から遠ざけたくなってしまう。

まあとりあえず、地域銀行(地方銀行+第二地銀)の金融全業態ベースのシェアだけチェックしておこう。

2020年3月期の預金シェアは26.9%、貸出金が41.7%だ。5年前と比較すると、預金が▲0.9%ポイント、貸出金が+1.4%、10年前との比較では、それぞれ+0.3%、+4.2%である。過去10年間の貸出金シェアアップの数字は、はっきり言って凄い!(本当によく頑張った)。

個人的には「異次元金融緩和策導入後(或いは、アベノミクスの時代)」の国内貸出市場を支えてきたのは地域銀行だと考えている。

「盲目的地銀叩き派」は「地銀は信用金庫を見習え」みたいな事をよく書いているが、信金の貸出金シェアは11.4%しかなく、5年前比▲0.4%ポイント、10年前比▲0.8%でシェア低下に歯止めが掛かっていない。

信用組合に至っては、シェア1.9%、5年前、10年前比共に+0.1%だ(シェアを上げたのは立派だな)。

これだけ「国内貸出マーケット」を必死に支えてきたのに「心なき金融誌・経済誌」に叩かれるんだからつらいよな…

私が失望しているのは「地域銀行の変化に対する対応の遅さ」であり、その存在意義や重要性については十二分に認識しているし評価もしているのだ。

届いたばかりの「金融マップ2021年版」と「1993年版」を並べてみた。しかしまあ、この仕事をこんなに長く続ける事になるとは思わなかったな。1993年って、J.P.Morganに転職した年だな…

—1000号まで残り28本