預貸金統計速報値を読む(2020年5月版)— 「別世界」が見えてきた…

全銀協と日銀の「5月の預貸金速報統計」相次いで公表された。この資料については「速報」なので、コメントをゴチャゴチャ書かずに、まずはサラッと資料を配信しよう。↓

PDF File: BEV-2020-0608

貸出については、末残・平残統計共に5月の増加率はさらに高まるだろうと予想していたのだが、全国銀行ベースの末残増加率6.4%には、さすがにちょっとビックリした。

リーマン・ショック直後の増加率ピークは2008年12月末の4.6%だったのだが、それを一気に大きく上回ったのである。個人的には、5月は伸びてもまだ5%台の半ば程度かなと見込んでいたので、それをかなり上回った事になる。

政府の第1次補正予算に盛り込まれた民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度が5月にスタートしたが、残高的貢献は6月以降と見込んでいた。もう効いてきたのかな?

業態別では、地域銀行の貸出増加ペースが鈍いように見えるが、中堅中小企業を中心とした「地域銀行」の貸出増加が本格的に顕在化してくるのはこれからだろう。

全銀協の統計は、残念ながら1999年12月までしか(私は)遡れない。銀行の貸出は減少するのが当たり前だった頃からのデータだ。一方、日銀の現行基準の平残速報統計は、1991年7月まで遡る事が出来る(増加率は1992年7月以降、算定可能)。5月の貸出平残増加率は5.1%。5%台なんてちょっと記憶にないな…

データを確認したら、リーマン・ショック後のピークは末残と同じく2008年12月末で4.1%だった。さらに遡っていったが、現行統計公表後は、この4.1%がピークであった。そういった意味では、COVID-19パンデミック禍を切っ掛けとした足元の貸出増加の勢いは「我が国バブル経済ピークアウト後(約30年)で最も強い」と言えるだろう。リーマン・ショックなんて軽く上回るようなインパクトなのだ。

だが、預金増加率も極めて高い。速報値なので、預金の具体的中身(種類別や預入主体別)までは確認できないが、これは大企業を中心とした「手元流動性確保」の動きがまずは先行し、借り入れた資金がまだ預金として滞留しているためではないかと推定される。これと同じような現象は、リーマン・ショック後にも確認されたが、預金増加率はここまで突出はしていなかった。

まあ、いずれにせよ「5月に入って別世界が垣間見えてきた」という事である。