「預貸ギャップ」の長期推移を読む(年度統計 & 月次統計2020年4月版)— 本当に不甲斐ないのは誰だ?

最近、講演で使用する「預貸ギャップ」関連資料を過去15年度末の長期推移と過去1年間の月次統計の並列版に変更した。さらに「預貸ギャップ額」と「預貸ギャップ率」の複合グラフにしたら、とてもスッキリとした。

「国内銀行」「大手銀行」そして「地域銀行」の業態区分で作成したのが下掲の資料である。月次統計に関しては、公表されたばかりの2020年4月統計まで含めてある。↓

PDF File: BEV-2020-0607

さすがに「預貸ギャップ」の意味とその重要性を理解していない『銀行業界鳥瞰図』読者は皆無であろう。

この資料は「国内店銀行勘定」を対象に作成しているので「国内における金融仲介機能の発揮度合い」を評価する上で、最も重要な資料である。

1枚目「国内銀行」ベースのグラフは「無様(ぶざま)」である。2020年3月末の預貸ギャップは285.7兆円、預貸ギャップ率は35.0%と共に過去最大(最高)だ。これは「過去最悪」と表現するのが正しい。共に11年度連続での悪化だ。

国内で銀行に預けられた預金の3分の1以上が貸出に回っていないのであるから「銀行は何をやっているんだ!」というマスコミ等の批判は間違ってはいない。

だが、ここ数年、その矢面に立たされてきたのは「地域銀行」である。これは正しかったのだろうか?

2枚目の「大手銀行」の「預貸ギャップ率45.1%」という「醜悪なグラフ」をまずは、眺めて見て欲しい。預貸ギャップの額は、リーマンショック直後の2009年3月末と比較すると3倍弱に増えている。じゃあこの預貸ギャップはどこに回った(環流した)のか? 最近配信した「広義有価証券残高推移」の資料をちゃんと読み込んだ読者はすぐにピンとくるだろう!

そして「叩かれ続けた地域銀行」の3枚目のグラフに移って欲しい。グラフ形状がまったく異なる事に気が付くだろう。預貸ギャップは5年連続、預貸ギャップ率は6年連続で「改善」しているのだ。私が学校の先生だったら「よくがんばりましたスタンプ」を押すに違いない。

これが「国内金融仲介機能の発揮度」に係る客観的な事実なのである。本当に不甲斐ないのは誰だったのか? 私が記すまでもないだろう…