私募投信純資産増減動向(2018年8月版)ーーー 「大異変」の後に…

自分でも嫌になる程、忙しい。現在は一昨日から2泊3日の北陸巡業中である。何しろ「八ヶ岳オフィス」に滞在する時間がない程だ。今月のこれまでの八ヶ岳滞在日数はわずか5日。28日まで講演・出張がギッシリなので、どう遣り繰りしても今月の滞在日数は7日がやっとである。しかも最近は、八ヶ岳滞在中も朝から晩まで仕事ばかりしている。そもそも八ヶ岳はオフィスなのだから仕事をするのは当たり前なのだが、何と言うか「ゆとり」「潤い」とか「遊び心」みたいなのが薄れて「殺伐」とした感じで仕事に没頭していた。

15日〜16日とオフィスにショートステイした際に同行した社主さまが、朝から晩までエクセル、パワポ、統計ソフトとにらめっこしている私を見て「あなた最近、忙しすぎるんじゃない?」と珍しく声を掛けてくれた。やっぱり傍目に見てもタコメーターがレッドゾーンのような状態が続いていたようだ。レブリミッターが作動して、2014年1月の「自爆テロ&バイオハザード同時発生」みたいな状況に陥る前に気分転換と休息が必要な状況となっていた。

幸い、北陸巡業の中日となった昨日は、夜の会食までは仕事の予定を組まなかったので、朝からレンタカーで「若狭三方縄文館」や「三方五湖」を探訪・ドライブしてきた。その模様はペアサイト「八ヶ岳稿房」の方で綴る予定だが、レインボーラインから展望する「三方五湖」は本当に美しかった。

レインボーラインの展望スペースから眺めた三方五湖

熱が籠もっていた頭の中がスッとして、肩の力もフッと抜けた。今日は金沢のホテルで朝を迎えたが気分爽快である! 『銀行業界鳥瞰図』でも配信しようかという気分になってきた。
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7月の弊社情報発信体制一新の際に、最後まで経営判断で迷ったのが『銀行業界鳥瞰図』を「オープン&無料配信」にするか「限定&有料」にするかであった。「有料」にしないで良かった… と改めて実感している。「オープン&無料」だからこそ、「暇で気が向いた時にサラッと配信」という無責任な運用が許されるのである。

そんなわけで、今日は「私募投信の純資産残高増減動向」をアップデートしようと思う。『銀行業界鳥瞰図』での配信はなんと2015年4月以来であるが、弊社講演においてはバリバリのレギュラー選手(定番資料)なので、細かい解説は不要であろう。

注意を要するのは、この統計は「私募投信全体」を対象としたものなので、設定や解約のすべてが金融機関向けで占められているわけではない点である。『銀行業界鳥瞰図』では久し振りの配信なので、この資料も「暦年統計」と「月次統計(24ヵ月)」を一緒に掲載しよう。

PDF File:BEV-2018-0920

今年度に入ってから、私募投信の純資産動向には「大きな異変」が発生した。4月に純資産が、1999年1月の私募投信純資産統計公表開始後初めての「前月比純減」となったのである。続く5月も「純減」となり2ヶ月連続となった。要因は「多額の償還」の発生にある。2か月合わせると4兆9,000億円近い額となるので、インパクトは極めて大きい。ここまで巨額となると純資産が減少するの当然である。

だが文字通り「償還」と読むわけにはいかない。大手金融機関向けの運用商品として組成されたファンドの中には所謂「一人私募」も有り、当該金融機関が解約した場合には「解約ではなく償還」とならざるを得ないからだ。4月、5月の巨額償還の内、一人私募の解約がどの程度を占めるかは不明であるが、この時期に大手金融機関で大規模な運用資産(ファンド)の組み替えがあった公算が大である。

4月と5月の「異常値」とも言えるデータを見た際には「高成長が続いてきた私募投信のマーケットもそろそろ曲がり角かな?」と感じたのだが、6月以降の動向は見ての通りである。月次の設定額は2兆円を超える高水準で再びジワジワと増加中。大量償還がない中で、解約額は1兆円台の前半から半ば程度に留まっているので、純資産は増加基調に戻っている。

考えてみれば当たり前で「金融機関の運用難」の状況はさらに加速しているのだ。ここ数ヶ月、国債保有の減少額が再び一気に拡大してきた。金融機関(特に地域金融機関)にとって私募投信は、既に「主食のひとつ」となりつつあるのだ。

これは金融機関の責任ではない。「異次元金融緩和策」という銀行アナリストから見ると何の成果があったのかよくわからない「歪んだ政策」によって、金融機関の運用の主食であった「国債(お米)」を不味くした上に、お上が買い上げて流通量も減らしてしまったのである。「政策」がもたらした結果と言い得るだろう。

個人的には「米騒動」が起きていないのが不思議な位だと思う。と言うよりは、もうマーケット部門の人達は、「ええじゃないか! ええじゃないか!」って踊り出したい気分だろう。

弊社の講演の参加者の「核」のひとつは依然としてマーケット部門の方達である。彼らが限られた資源や人員の中で、銀行の収益をしっかりと支え続けようと真摯に頑張り続ける姿には本当に頭が下がる。最近は、マーケット部門所管の役員さん等と会食していると、何故か自然と、中島みゆきの「地上の星」や「ヘッドライト・テールライト」が頭の中で流れるようになってきた…