投資信託純資産 販売形態別残高動向(2018年8月版)— 投信全体では依然として厚い「50%の壁」

『銀行業界鳥瞰図』再開後、まだ投信関連の資料を配信していない事に気が付いた。ちょうど13日に投資信託協会から本年8月の「投資信託概況」等、関連統計が公表されたばかりなので久し振りの配信再開にはよいタイミングであろう。

かつて弊社の講演には『50%の壁』というタイトルを付した2つの資料が存在した。ひとつは地域銀行が経営統合する際に「都道府県等一定のエリア内での貸出金を中心とした合算シェア50%」が公正取引員会から経営統合の承認を得る上でのおおよその目安となるのではないかという考え方を示すための資料であった。だが、この資料については茨城県における「めぶきFG(常陽銀行と足利銀行)」や新潟県における「第四銀行と北越銀行」の経営統合承認により「50%の壁」は既に破られており、その使命を終えている。

長崎県における「十八銀行と親和銀行」の経営統合(合併)承認では、50%を大幅に上回る60%台後半のシェアが実現する方向なので「壁」の水準をさらに引き上げる必要があると考えている。場合によっては「ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)」を基準とした新しい資料に切り替える必要があるかもしれない。

そんなわけで、現役を続けられそうなのは、本日配信する『銀行窓販 50%の壁』資料のみである。旧『銀行業界鳥瞰図』の読者の皆さんにはお馴染みだと思うが、この資料は投資信託協会が月次で公表する「投資信託の販売形態別純資産」統計をベースに作成するモノであり、特に、銀行窓販による純資産残高が投資信託全体(公募+私募)の純資産に対してどの程度のシェアを有しているかを確認する事に意義がある。

銀行窓販の解禁から2006年12月に初めてシェア50%を突破するまでが「銀行窓販解禁後の高成長期」、その後シェア上昇が止んで再び50%の壁を破る2016年までが「市況連動期」、そして2017年3月の金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」公表以降は、「フィデューシャリー・デューティー転換期」といった括りで銀行の投信窓販ビジネスを俯瞰している。

最新統計である本年8月の銀行窓販シェアは47.9%であり、依然として「50%の壁」は厚い。銀行窓販シェアの上昇が止んでいる背景には、地域銀行においても「証券子会社」の設立が相次いでおり、銀行グループ内における「投信販売の担い手」の変化(多様化)が進んでいる点もある。

また、講演先の銀行から「リテールにおける銀行窓販シェアの実態を把握する上では『公募投信』に限定したシェア推移がより重要ではないか?」といった類の意見が何回か寄せられた。そこで最近は「公募投信限定版」の資料も作成するようにしている。

こちらは、2008年8月(リーマンショック直前)に43.4%でピークを打ち、最新統計では25.1%にまでシェアが低下している。

どちらのデータを重視するかは読者の判断に委ねるが、私個人としては、ファンドラップの販売拡大等もあり「公募投信」のみで銀行窓販の実力を評価できるような時代ではないと考えている。

PDF File: BEV-2018-0914