国内銀行 アパートローンの動向(2018年6月版)— 残高伸び率は2%まで低下。地域銀行残高シェアは64.3%!

3年間の『銀行業界鳥瞰図』休稿中に、新たに定期的更新の対象となった銀行関連のマクロ統計や資料は、正確に数えたわけではないが20項目前後あるように思う。そのひとつが何かと話題の「アパートローン」関連の統計である。

筆者は、日銀の四半期統計である「貸出先別貸出金」統計における「不動産-個人による貸家業向け貸出の内、設備資金貸出分」を「アパートローン」とみなして資料作成してきた。下記の2枚のグラフは、国内銀行 銀行勘定を対象とした、左が「新規貸出実行額(フロー)」、右が「残高(ストック)」の過去5年間の推移を示している。

PDF File: BEV-2018-09113

アベノミクス導入後という期間で見れば、新規貸出額が前年同月比で高い伸びを示したのは2014年度第4四半期から2016年度第3四半期までの2年間程であり、2016年度第4四半期以降は6四半期連続で前年同期比減となっている。貸出残高の前年同期末比での増加率ピークは2016年12月末の5.4%であり、その後、6四半期連続で増加率は低下。足許は2%まで低下しており、総貸出増加率(+3.0%)を下回っている。

カードローンが昨年(2017年)夏場までは「高成長分野」であったのに対して、アパートローンは一足早く「2017年に入ってからは失速状態」にあったと言えるだろう。なお、最新統計である2018年6月末のアパーローン残高は資料のベースとなった「設備資金貸出」で22兆8,223億円、運転資金貸出も含めると 23兆2,677億円(差額の運転資金貸出は4,454億円)、総貸出金に占める構成比は、それぞれ、4.6%、4.7%である。

こんな具合に、四半期ベースでの定点観測を行ってきたアパートローンであるが、遅ればせながら「全銀協」が2017年10月から、カードローンと同じように業態別残高を月次で公表するするようになり、2016年4月末まで遡ってデータが利用できるようになった。どんな定義でカードローンの計数を集計するのか注目していたのだが、結局、日銀の「業種別貸出金調査表」の「不動産業-個人による貸家業に該当するもの」とされた。日銀の公表数値と若干の差異はあるものの筆者と同様「設備資金貸出」を集計したものと推定される。

2018年6月末データで算定した業態別のシェアは、大手銀行が 35.7%、地方銀行 51.9%、第二地銀 12.4%なので、地域銀行ベースでは 64.3%のシェアを有している。「アパートローン業務の牽引役は地域銀行であった」という構図は、統計によっても裏付けられる。