広義有価証券種類別残高動向【②大手銀行編】(2018年6月版)— 広義有価証券の6割強を占めるブタ積みと存在感高まる「外国証券(外債)」

昨日の「国内銀行編」に続いて、本日は「大手銀行編」を掲載しよう。有価証券の定義や対象期間については、まったく同一である。昨日書き忘れたのだが、資料作成のベースとなっている日銀「民間金融機関 資産・負債統計」の留意点(癖)について改めて触れておこう。

同統計は、銀行のバランスシート残高の動向を把握する上で最も有益なデータである。但し、開示項目のひとつである「その他有価証券評価差額金」の残高は3月末と9月末が突出して大きく、6月末と12月末の水準はその3割程度となっている。他の8ヵ月については残高はゼロに近い事から、日銀への報告計数に時価基準と取得原価基準の計数が混在しているものと推定される。したがって本来は、3月末と9月末に限定した上で有価証券の残高動向推移を把握するのに適した統計であると言えるだろう。しかしながら、6ヵ月ではデータ更新間隔があまりにも間延びするので、『銀行業界鳥瞰図』では今後、6月末と12月末を加えた「四半期ベース」でのアップデートを予定している。

さて、下記「大手銀行版」グラフを見ていただきたい。

PDF File: BEV-2018-0828

最大の特色は、広義有価証券に占める「ブタ積み」の構成比が6割を超えている点にある。異次元金融緩和策導入後で見ると(2013年3月を起点)、狭義有価証券残高が75.8兆円も減少(2013年3月末 191.0兆円 ⇒ 2018年6月末 115.2兆円 ▲39.7%)しているのに対して、ブタ積みは実に162.7兆円増(11.6倍)。大手行のバランスシートにおける「ブタ積みの増殖」は凄まじい。

狭義有価証券の中で存在感を高めて来たのが「外国証券(ほとんどが外債)」である。異次元金融緩和策導入後の残高そのものは微減(同 35.8兆円 ⇒ 33.5兆円 ▲6.4%)となっているが、この間、残高が78.2兆円(▲63.2%)も減少した「国債」に次ぐ存在となっている。6月末の国債との残高差は12兆円にまで接近しており、今や大手銀行の有価証券運用にとって「外債運用」は2本柱のひとつと言い得るだろう。

一方で、大手銀行の場合、「ファンドその他」の存在感は極端には高まっていない。残高は4.5兆円(同 2.7兆円 ⇒ 7.2兆円 2.7倍増)と増えてはいるが、広義有価証券に占める構成比は、2013年3月末 1.3%が本年6月末に2.4%と上昇したのみ。狭義有価証券ベースの構成比も1.4%が6.2%となった程度である。この点が、明日配信する「地域銀行版」との大きな相違点である。